抽象的思考とは何かと身につけ方
【記事執筆者】水川健人
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
【価値あるものが正しく認められるビジネス業界】を目指して日々活動中。

 

思考力の高い人と低い人の違いの1つに、
抽象的思考というものがあります。

 

新しいアイディアや問題の解決法などを簡単に思いつく人は、
抽象的思考を意識的か無意識的におこなってることが多いです。

 

ですから、思考を最大限活用したいのであれば、
抽象的思考は身につけておくと便利。

 

この記事ではそもそも抽象的思考とは何なのか、
身につけるにはどうすればいいのかまで、
一通りお話していこうと思います。

 

抽象的思考とはそもそも何か

 

抽象的市思考が何かを正しく理解するにはまず概念と、
抽象的とはどういう状態なのかを知る必要があります。

 

概念っていうのは人が共通して持っている認識に、
何かしら名前をつけたものです。

 

例えばリンゴってどういうものですかと聞かれた時、
僕とあなたは同じような説明をすることができるでしょう。

 

それは、僕とあなたの中に共通の認識があるからで、
その認識にリンゴという名前がついてるわけです。

 

他にもバナナとか桃とかいろいろあるわけですが、
それらに対する認識も僕とあなたとではほぼ同じで、
説明しようと思えば同じようなことができる。

 

では、リンゴと桃とバナナに共通するものは何かと聞かれたら、
どのように答えるでしょうか?

 

おそらく果物だと答えるのではないかと思いますが、
ここまでの流れの中で具体的なものが抽象的になっていく。

 

そんな過程をたどっていたことがわかるでしょうか?

 

はじめはリンゴから始まってバナナや桃がでてきて、
それらの共通点の話から果物という様々な要素を内包した、
1つの抽象的な概念の話になる。

 

ようは、抽象的っていうのは1つの概念の中に、
より多くの要素を内包しているものということです。

 

リンゴやバナナや桃という具体的な要素が集まると、
果物というより抽象的な1つの概念が生まれる。

 

内包している要素が多ければ多いほど抽象度が上がり、
少なくなるのほど抽象度が下がるのです。

 

そして、抽象的思考というのは抽象度を把握したうえで、
それらを自由に扱うことができる思考のことをいいます。

 

具体的なものと抽象的なものを自由に行き来ができて、
必要な場面で使いこなせるような思考のことなのです。

 

ちなみに、抽象と具体を自由に行き来することを提喩(ていゆ)といいます。

 

概念や提喩については別で詳しく解説している記事がありますので、
時間があれば一読してみてください。

 

抽象的思考理解の助けになりますよ。

 

 

抽象的思考ができると思考力が高まるのはなぜか

 

ではなぜ、具体と抽象を自由に行き来できる、
抽象的思考ができると思考力が高まるのか?

 

ざっくり言うと視野を自由に変えることができるからです。

 

先に話したように抽象的というのは、
複数の具体的な要素を内包したもの。

 

ですから、具体的なものが抽象的なものに変換されると、
要素の1つ1つは薄くなるものの含まれる種類は広くなる。

 

つまり視野が一段上がります。

 

変換されたものがさらに別のものと結びついて、
また抽象的なものに変換されれば、
視野がさらに一段上がる。

 

例えば先にリンゴなどの具体的なものが、
果物という抽象的な概念になりましたよね。

 

そこに牛肉などの要素を内包した肉という概念がでてきて、
では肉と果物の概念の共通点は何かというと食べ物です。

 

牛肉やリンゴなどの具体的な要素から、
肉と果物という抽象的な概念が生まれて、
さらにそれらを内包する食べ物という概念が生まれる。

 

これが視野が上がっていく一連の流れ。

 

そして、この流れを繰り返し最終的にたどり着く全ての要素を内包した、
ただ1つのものを世界の根源、哲学ではアルケーと呼びます。

 

哲学における抽象的思考とはアルケーに近づくための手段であり、
そもそも抽象的思考は哲学が起源だろうと僕は思ってます。

 

これを日常的な思考に取り入れていくことで、
抽象化と具体化を自由に使い分ける。

 

広く薄く見える視野とはっきりと狭く見える視野を、
自由に切り替えることが抽象的思考です。

 

で、このような視野の切り替えがなぜ、
思考力向上につながるかと言えば、
これはパズルを想像してもらえるとわかりやすい。

 

具体的なものだけで思考するのはパズルのピースだけを見て、
完成させようとしてるのと同じです。

 

ピースの1つ1つの形を順に合わせていきながら、
徐々に完成に近づけていくわけですが、
当然ピースの数が多いほど時間がかかります。

 

だけど、最終的な完成図を知っていればどうか?

 

ピース1つ1つがどこらへんのパーツであるかを、
ざっくりとですが予測して効率的に配置していけます。

 

完成図を知ってるのとそうでないのとでは、
パズルの難易度が大きく変わりますし、
だから一面真っ白なミルクパズルとかはかなり難しい。

 

これを抽象的思考に当てはめるとピースは具体的な要素、
完成図は一段高い抽象的な要素です。

 

より多くの要素が絡み合う物事を考えるときほど、
一段高い抽象的な思考で物事を把握することで、
より多くのものを見て生み出すことができます。

 

現代社会は様々なものが結びついて動いていますから、
より高い視野から物事全体を見ることができて、
それを目の前の具体的な行動に落とし込める。

 

そんな人ほどより多くのものを生み出すことができて、
思考力が高い人だと言われるのです。

 

抽象的思考の身につけ方

 

ここまでお話してきたように抽象的思考とは、
具体と抽象を自由に行き来すること。

 

広い視野と狭い視野を必要に応じて使い分けることです。

 

では、どうすれば身につけていけるのかというと、

 

  • 共通点を見つけていく自由な発想力
  • 1つの要素に固執しない柔軟さ
  • 様々なことを取り入れていける好奇心

 

この3つの要素をきちんと磨いていくことが大事です。

 

共通点を見つけていける自由な発想力

 

共通点を見つけていける自由な発想力は、
抽象的思考においては最重要。

 

何度もお話しましたが抽象的思考は、
抽象と具体を自由に行き来できる思考法。

 

ですから、具体的なものから抽象的なもの生み出すのが基本で、
これができないと抽象的思考を身につけることはできません。

 

なので、具体から抽象、抽象から具体を生み出す訓練は、
日常的な習慣にしていくのが大事。

 

例えば自分の部屋にあるものとかでかけ先にあったものとか、
なんでもいいのでいくつかピックアップする。

 

で、それらの共通点を紙でもスマホでも何でもいいので、
自由に考えて書き出してみてください。

 

この時、重要なのは自由な発想力です。

 

常識とか無理矢理すぎとかどうでもいい、
なんかこじつけっぽくてもいいのでとにかく、
共通点をできるだけ見つけてみましょう。

 

そうして見つけた共通点という抽象的なものに、
今度はピックアップしてない別のものを当てはめてみる。

 

これが具体化です。

 

この抽象化と具体化の行き来はぜひ訓練して、
意識しなくても自然とできるように、
習慣化してみてください。

 

それだけである程度抽象的思考力が身につきますよ。

 

1つの要素に固執しない柔軟さ

 

基本をマスターしたら次に大事なのが柔軟さです。

 

人の思考、正確には意識的にできる思考は、
1つのことしか考えられないようにできてます。

 

ですから、人は基本的に1つの要素に固執しがち、
ようは生まれながらに頑固の素養を持ってるのです。

 

ですが、抽象的思考はどれだけ多くの要素に目を向けられるか、
そこから共通点を見つけられるかにかかっています。

 

なので、柔軟さを意識して身につける必要がある。

 

そのためには、自分が何に固執する傾向があるかを把握し、
意識してその外に出てみることを癖づけることです。

 

誰しも自分なりの思考傾向や価値観を持っていて、
それにそって物事を捉えるもので、
加えてそこから外れることを嫌がる傾向にあります。

 

ですから、まずはそれを把握することが大事で、
そのうえでその傾向から意識的に外れてみる。

 

新たな視点を取り入れるということは、
実践してみてください。

 

様々なことを取り入れていける好奇心

 

具体と抽象の行き来と柔軟性を身につけたら、
後は共通点を見つけられる引き出しを増やすだけ。

 

当然ですが共通点を見つけるためには、
2つ以上の物事を知らないといけない。

 

極端な話ですが1つの物事しか知らないのであれば、
共通点を見つけることはできないのです。

 

単純にものを知っているということも、
抽象的思考を実践するうえでは役に立ちます。

 

なので、様々なことを取り入れてみてほしいのですが、
重要なのは何にでも好奇心を持つという点です。

 

先に話しましたが1つの物事に固執していては、
様々な物事に目を向けることができない。

 

ですから、例えば自分が好きなものとか、
興味があるものだけを取り入れても、
抽象的思考ではあまり意味がない。

 

そういった固定化された自分の価値観などの外に出て、
何にでも好奇心を持って様々なことに触れてみるのが大事です。

 

具体と抽象の行き来を習慣づけておけば、
新しいことと既存のものの共通点を見つけられる。

 

それを起点に新たな好きなことや興味があることになる、
新しい価値観や思考傾向が生まれることもあります。

 

自分の世界が広がってそれが抽象的思考力を高め、
高まった抽象的思考が世界をまた広げてと、
好循環を生み出すことができるのです。

 

 

以上、抽象的思考を身につけるための3つの要素について、
一通りお話してきました。

 

ぜひ実際にやってみて身につけてみてください。

 

しばらく実践してみればそれまでとの思考の違いを、
きっと感じることができると思いますよ。

 

 

では、今回はここまでです。

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