集中力が仇となる可能性
【記事執筆者】水川健人
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
【価値あるものが正しく認められるビジネス業界】を目指して日々活動中。

 

集中できないことを悩んでる人は多いと思います。

 

その証拠に集中力を身につける方法論とかが世に溢れている、
それだけ需要がある、真剣に学ぶ人がいるわけですから。

 

ですが、集中力が仇になることがあって、
集中したがゆえにおこる失敗というものがある。

 

ビジネスでも集中によって大惨事になる、
そんなことがあり得えます。

 

ただ集中することが必ずしも、
良い結果をもたらすわけではないのです。

 

なので集中力が仇になる可能性と、
そうならないための対処法というテーマで、
この記事ではお話していこうと思います。

 

なぜ集中力が仇になることがあるのか

 

まず、集中力が仇となったある事故についてお話します。

 

ユナイテッド航空173便の燃料切れ墜落事故です。

 

1978年のこの飛行機墜落事故では乗員乗客合わせて、
10名の死者がでてしまいましたが本来であれば、
大惨事がおこる可能性はほぼなかったと言われています。

 

天候に恵まれ運行乗員の3人は皆ベテランでした。

 

実際、目的地への着陸間際までは何の問題もなく、
順調に飛行していたのです。

 

ですが、着陸体制に入る際にある1つの問題が生じます。

 

着陸用の車輪がきちんと出たことを知らせるランプ、
これをダウンロックインジケータと呼ぶのですが、
これが点灯しなかった。

 

もし、本当に車輪が出てなかったら胴体着陸となり、
何らかの被害が出る可能性があるため、
着陸から旋回に切り替えて原因を探ることにしたのです。

 

インジケータにはコクピットにあるランプとは別に、
機外にある目視用のインジケータが存在していて、
それを確認したところ車輪は出ていることが確認できた。

 

しかし胴体着陸の危険を確実に回避したかったのか、
当時の機長は燃料切れで飛べなくなるギリギリまで、
原因や車輪が出たことの確信を探ることに集中していた。

 

ですが、それが事故をおこしてしまうきっかけになったのです。

 

あまりにも車輪のことに集中していた機長は、
副操縦士や航空機関士の燃料切れが近いとの報告に、
耳を貸すことができなかった。

 

また、自身も燃料メーターを読み間違ってしまい、
手遅れになる状態まで燃料が減っていることに気づかず、
結果として胴体着陸よりさらに難しい墜落状態に。

 

死者10名という事故を起こしてしまったのです。

 

後の調査でこの事故にはいくつかの原因があるとされましたが、
その1つが集中によるものであると結論付けられた。

 

あまりにも1つの問題に集中してしまったがために、
他のことに気が回らなかったのです。

 

そしてこれが、集中が仇になるということ。

 

集中とは1つのことに気を集めるということですが、
それはつまり視野を狭めることと同義です。

 

加えて視野が狭まるほど自分と世界を切り離すことになり、
自分の内面世界と目の前のことだけが全てになる。

 

航空事故の例で言えば機長は車輪の問題だけ、
それだけに集中したがために他の危機の可能性や、
他の人の声を意識から外してしまった。

 

車輪の問題をどうにかするという自分の考えが全てになった。

 

その結果が死者10名という事故を引き起こしたのです。

 

集中していい場面とダメな場面

 

集中すること自体は悪いことではありません。

 

ですが、集中していい場面と悪い場面があるのです。

 

というのも、先に話したように集中するということは、
ある1つ以外の全てを意識から追い出すということです。

 

意識がそれ以外に向くことがなくなる、
他のことに気が向けられなくなる。

それでも物事が成立する場面であれば、
集中してもいいでしょう。

 

逆に1つのことだけに集中していては、
物事が立ちいかなくなる場面では、
集中してはダメなのです。

 

例えば先の航空事故なら機長というそのフライトで、
すべての責任を負いあらゆる物事に目を向け決断する。

 

そんな立場であった場面で1つのことだけに、
ひたすら集中することは許されなかった。

 

常にあらゆる状況や動きを見渡しながら、
最善の決断をくださなければならなかったのです。

 

ですが、技師とかであれば自分の仕事だけに集中し、
それだけをしっかりこなせばいい。

 

他のことや全体の管理はきちんとする人がいるからです。

 

他にもビジネスオーナー、ビジネスを運営する人は、
ビジネスの全体を見てきちんと管理しないといけない。

 

一箇所だけに意識を集中して他の問題を見逃せば、
ビジネスが傾く可能性も高まっていくのです。

 

逆に企業に所属する社員であれば、
自分の仕事だけに集中しても、
他のところは他の人がやってくれる。

 

全体を管理する上の人もいますから、
システムがきちんとしてれば、
問題なくビジネスは回るでしょう。

 

ようは、自分は1つのことに集中してればいい立場か、
それとも全体をきちんと見渡さなければならない立場か。

 

その差が集中していい場面とダメな場面をわけるのです。

 

場面によって集中を使い分けるのが大事

 

いろいろお話しましたが場面によって、
集中を使いこなすのが大事なのです。

 

どんな人でもいろいろな立場を持って、
人生を生きているからです。

 

例えば会社では社員として自分の仕事に集中すれば、
それで成果を上げられるような立場にいる。

 

だけど家庭を持っているなら全体を見渡して、
様々なことを決断する立場となることもある。

 

他にもいろんな立場があってそれによって、
どのような視点を持つべきかが変わる。

 

ただ自分の考え、世界だけに集中することは、
生きている限りどんな人にもできないのです。

 

ですから、ただ集中するだけじゃなくて、
集中していい場面とだめな場面を見極める。

 

そんな意識を持ってみてください。

 

そうすれば、より集中することの効果が高まって、
より多くのことを成すための助けになりますよ。

 

 

では、今回はここまでです。

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