
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
アイディアって聞くとなんかある日突然ひらめくみたいな、
瞬間的なものをイメージする人って多いと思うんですよ。
ですから、アイディアが出ないと悩んでいる時に、
なんかそれっぽい手法やテクニックさえあれば、
生み出せるようになるんじゃないかと考える。
実際、世の中にはアイディアを出す方法みたいなのがあふれて、
それさえ読めばアイディアには困らないと言ってたりする。
だけど、それでアイディアが出るようになるかといえば、
おそらくあまり変わらないのではないかと思うのです。
そして最後には、才能があるからできるんだみたいに思って、
出すこと自体を諦めてしまうこともあるかもしれません。
もし、あなたにもそんな悩みがあるのだとすれば、
知っておいてほしいことがあります。
アイディアとは基本的に積み重ねによってしか、
生まれることはないということをです。
アイディアの基本は積み重ね
そもそも新しいアイディアってどうやって生まれるのかといえば、
基本的には既存の要素の組み合わせや発想から生まれます。
まったくのゼロからイメージで何かを生み出してるわけじゃなく、
その人がそれまでに見聞きして知り経験して得た様々な要素を、
自由に組み合わせることによって生み出す。
そこから一歩踏み込んで要素を起点にして、
様々に発想を飛躍させていきながら、
まだ見ぬ知らぬものをイメージして生み出す。
何にせよ、元になるのはその人が持っている要素です。
で、少ない要素から新たなアイディアを次々に生み出せる人もいて、
そういう人が才能があると呼ばれるのでしょう。
だけど、才能ある人も何らかの要素を起点とすることは変わらない。
ですから、基本的にはより多くの要素を持っている人のほうが、
アイディアを生み出しやすいということ。
それはつまり、アイディアとはどれだけ起点となる要素を、
積み重ねることができるかにかかっていると言えるのです。
アイディアが出ないのは積み重ねが足りないから
アイディアが出ないと悩んでいるのであれば、
その根本的な原因は方法を知らないからでもなければ、
才能が違うからでもない。
その人がアイディアを生み出すのに足る要素の、
積み重ねが足りないからです。
先に話したように少ない要素から発想を飛躍させ、
アイディアを生み出せる人もいます。
だけど、大半の場合はそうじゃありません。
そうじゃないなら地道に様々な要素を積み上げていく、
学んだり経験したりするしかない。
テクニックや方法論もあくまで積み重ねた要素を、
うまく組み合わせたり発想を飛躍させるためのもので、
それなしに役立つものじゃないのです。
アイディアの基礎はどこまでいっても積み重ねです。
積み重ねたものをアイディアに変換する2つの考え方
積み重ねはアイディアを生むためのスタート地点であり、
それなしに何もできないとここまでお話してきました。
とはいえ、積み重ねただけでアイディアが出るかというと、
あくまでもスタート地点なのでそこからは別の考え方。
組み合わせを生み出す、発想を飛躍させるために、
必要な考え方が必要になってきます。
ここではその中でも重要な2つの考え方について、
最後にお話してみようと思います。
まずは関係ないはないという考え方です。
多くの人は興味がなかったり詳しくなかったりすると、
自分には関係ないと知っているものだけに意識を向けがち。
ですが、そもそも新しいアイディアっていうのは、
今の自分にはない(できない)ものからしか生まれません。
それまで知らなかった要素を取り入れたり、
それまでしてこなかったものの見方をしたりして、
はじめてそれまでにない新しいアイディアが生み出せる。
ですから、関係ないとか興味ないっていう考え方は、
アイディアを生み出すうえでもっとも邪魔になる。
大事なのは関係ないものはないんだという考え方、
一見関係なさそうな要素に関連性を見いだし、
組み合わせていくことです。
これが1つめ。
もう1つは連想力です。
先に少し話しましたがアイディアを生み出すには、
要素同士を組み合わせていく方法ともう1つ、
ある要素を起点にして発想を飛躍させる方法があります。
組み合わせはあくまでも知っている要素を組み合わせる方法なので、
知らないことや見えないものを生み出すことはできない。
だけど、発想の飛躍は要素を起点にして知らないものや、
見えないものを連想することで新しい何かを生み出せる。
これによって生み出されたアイディアの例の1つが、
チャールズ・ダーウィン博士が提唱した自然選択説。
様々な生物や植物などを観察していたダーウィン博士は、
他にはない特徴を持って生まれる個体がいることを知った。
それを起点として生物や植物には他にはない特徴を有して、
この世に生まれてくる機能が備わっていると仮定して、
そこから一歩踏み込んで従来の種と変化した種。
両者のうち環境に適応したほうが生き残り、
その特徴を将来世代に引き継ぐことができた。
それを繰り返して今の姿になったのだという、
自然選択説を生み出したのです。
今では、この説は遺伝子の仕組みの解明や様々な発見によって、
進化の説明として正しいものだと考えられるにいたりました。
ですが、ダーウィン博士は遺伝子の仕組みなんて知らなかった。
ただ観察を通して知った要素を起点として見えないもの、
生物の遺伝の法則を連想しそこから更に踏み込んで、
過去の進化の流れをイメージしたのです。
このような発想の飛躍をうまくおこなえるようになると、
組み合わせから一歩先に進んだ全く新しいアイディアを、
生み出していける可能性が開ける。
なので、まずは関係ないはないという考え方をして、
組み合わせによるアイディア出し方をまずはやってみる。
慣れてきたら発想を飛躍させていく、
連想力を意識してみてください。
アイディアを生み出す大きな助けになりますよ。
では、今回はここまでです。