
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
やる気がでなくて行動できないというのはよくあること。
達成したい目標があったり、やらなくちゃいけないとわかっている、
そのために何をするべきなのかまできちんと把握している。
であるにもかかわらず、なぜかやる気がでずに行動ができない。
このページを開いてくれたということはそのような悩みがあると思います。
これを解決するカギは人の意識と無意識の機能にあるのです。
やる気がでないというのは実は無意識の生み出す錯覚のようなもので、
意識的な活動を通じて錯覚を打ち破ることができます。
これを知ることでやる気がでないという状態を改善し、
より良い行動ができるようになる。
そのはじめの一歩を踏み出すことができるようになるでしょう。
※ここでの無意識の定義は意識とそれを生み出す脳機能以外の全てを指します
意識と無意識の機能を知ることが解決への第一歩
では、意識と無意識の機能への理解を深めていきましょう。
まず知っておいてほしいのは無意識は意識よりも多くのものを、
早く長期間処理し続けているということ。
加えて、どんな情報を意識で処理するべきかを、
ある程度決めているのも基本的には無意識です。
というのも、生物の脳にはニューロンという情報を司る細胞があり、
人間の脳には約1000億個ほどあります。
ちなみにニューロンとは脳が働く時に活動するものと考えてください。
このうち意識を生み出していると言われている大脳新皮質には、
約200億個ほどのニューロンが存在していて、
残りの800億個ほどは無意識となる他の場所にある。
無意識には意識の4倍あるわけです。
ニューロン同士は電気信号で何度も情報をやり取りしているのですが、
それをふまえると実際に意識が受け取っている情報は、
無意識の100万分の1程度になります。
数字で見るとそんなに差があるのかと思うかもしれませんが、
無意識が実際におこなっていることを考えてみると、
そこまでおどろくことでもない。
例えば今、あなたはこれをパソコンかスマホで読んでいると思いますが、
パソコンなどを利用して記事を読むという単純に思える行動にも、
処理すべきことは多くあります。
記事内にある言葉を言語や意味など様々な側面からまとめないといけないし、
スクロールして記事を読み込んでいくには指を動かさないといけない。
指を動かすという行為も簡単に思えるかもしれませんが、
実際には複数の筋肉を同時に動かすという複雑な処理が必要。
おまけに読んでいる間も常に自分の生命を維持するために、
心臓を動かし続け呼吸もおこなう必要がある。
他にも複数のことを人は同時に常におこなっているわけですが、
あなたはその全てを意識して監督しているわけではないですよね。
あなたが意識しているのはこの記事の内容はどんなものか、
それがなんの役に立つのかといったことでしょう。
それ以外のことは勝手に体が、脳がおこなってくれている。
意識はただ、脳の無意識という機能が処理した膨大な情報、
情報から得られる意味ある結果を受け取って、
それを元に考えているだけなのです。
加えて、意識は無意識よりも活動できる時間が短く、
思考する速さも無意識より遅いという特徴がある。
なので、意識がエネルギー切れになってまともに働かなくなると、
無意識の影響力が圧倒的になります。
例えば怒りの感情が出たときとかがわかりやすいです。
普段なら冷静に受け流すこともできるんだけど、
疲れてる時にイラッとすることなどを言われると、
怒りから思わず声を荒げてしまった時。
こういう時は疲れによって意識がまともに働かず、
感情という無意識の領域の影響がそのまま、
表に出てしまったためにおこること。
いろいろお話してきましたがようは人っていうのは、
基本的には無意識に強い影響を受けていて、
意識は思ったほど影響力がないということです。
意識と無意識の機能から見えてくるやる気がでないの正体
以上のような意識と無意識の機能を理解すると、
やる気がでないという状態の正体が見えてきます。
先に話したように人の意思決定や行動に強い影響を与えるのは、
基本的には無意識。
なので、意識的にはやるべきだと考えていても、
やる気がでなくて行動できないという場合は、
無意識的にはやりたくない(重要でない)と考えてるのです。
ですから、やる気がでない状態というのは、
無意識がやらないという決断をくだしていて、
かつ意識がその決断をくつがえせないということ。
なので、やる気が出たら行動できるようになる、
ということはどれだけ時間が経ってもありません。
やる気が出ないと思っている時点で影響力ある無意識が、
行動しないという決断をすでに下している。
そして意識も半ばそれを受け入れているから。
『やる気が出ないは行動しないの裏返し』なのです。
やる気が出ないを改善する3つのステップ
ここまで、人は無意識に強く影響されている。
やる気がでないという状態は行動しないという無意識の決断の結果を、
意識も半ば受け入れている状態だとお話してきました。
前置きが長くなりましたがここからは本題、
やる気が出ないを改善する方法についてお話しましょう。
以下の3ステップです。
- やる気が出ないときの無意識の決断を自覚する
- 無意識の決断に意識的にさからう
- 継続することで無意識のプログラムを書き換える
やる気が出ないときの無意識の決断を自覚する
これからあなたがやる気がでないと感じるときがきたら、
それはやる気がでないという状態ではない。
すでに行動しないという決断を無意識はくだしていて、
意識もそれをくつがえせるだけの材料を持っていない状況である。
これをまずは自覚できるようになってください。
『やる気がでないは行動しないの裏返し』です。
無意識の決断に意識的にさからう
先ほど少しお話しましたが無意識はしないと決断しているので、
『やる気が出ればできるようになる』はおこりえない。
やる気が出るのを待っていてはいつまで経っても、
行動に移すことはできないでしょう。
なので、やる気が出ないは無意識のやらない決断と自覚できたのなら、
それに意識的にさからう必要があります。
自分の目標などにとってそれをやることが必要だとわかっているなら、
とりあえずそれをやる態勢をまずは作ってみる。
少しでもいいからまずは意識的に行動してみることです。
ちなみに、もしここでまったく行動できないようなら、
それは意識的にもそこまで重要じゃないと考えてる可能性が高い。
意識無意識の両方が重要じゃないと考えてるのであれば、
そもそもあなたにとって重要なことじゃない可能性が高いので、
一度自分の目的や目標をきちんと考えてみるのが大事です。
継続することで無意識のプログラムを書き換える
意識的に行動できたとしてもそれを継続するのはきつい。
先に話したように意識は無意識よりも持続力がなく、
無意識を無視して活動し続けることはできないからです。
ですが、人の無意識自体はただのプログラムのようなもので、
あることに対して決まった反応を決断し行動に移すだけ。
例えば怒りを感じたときに怒鳴ってしまう事が多い人は、
怒り=怒鳴るというふうに無意識にプログラムされている。
このプログラムはそれまでの人生で積み重ねてきた、
知識や経験、それによって生まれる価値観などで、
無意識内に形作られたものです。
ですから、新たな行動による経験や知識などを積み重ねることで、
新しいプログラムに書き換えることができます。
怒り=怒鳴るというプログラムを意識的に否定して、
怒鳴らず冷静に対処するという行動を繰り返すことで、
怒り=冷静に対処するという新たなプログラムを作れる。
やる気が出ない行動、無意識がやらないと決断した行動も、
以上のように意識してプログラムを書き換えることで、
無意識にやる行動に変えることができるのです。
ですから、変わるまでには意識的な否定が必要になるので、
しばらくはきついと感じる状況が続くかもしれません。
時には意識をうまく働かせることができずに、
無意識の影響力に負けてしまうこともあるでしょう。
ですが、たとえ負けてもそれを自分の意思の弱さとか、
自分はダメなんだという方向に結びつける必要はありません。
何度もお話してるように人は基本的に無意識の方が強く、
なれないうちは無意識の影響が強く表に出るのは当たり前。
ですから、そこで諦めずまた意識をきちんと働かせて繰り返し行動する。
そうして一度無意識のプログラムが変わってしまえば、
意識を働かせて行動する必要がなくなる、
ほとんどエネルギーを使わずに行動できるようになる。
やる気がでないという状態を改善できます。
- 無意識の決断の自覚
- 意識による無意識の否定
- 無意識の否定を肯定に変える
このプロセスを覚えておいてください。
無意識を否定する意識活動を人は知性と呼ぶ
今回、やる気が出ないを改善する方法というテーマで、
いろいろとお話してきました。
無意識や意識の機能など受け入れづらい話もしましたが、
無意識を否定できる意識を持つ生物は人間だけ。
このことは知っておいてほしいです。
簡単に言えばやりたいからやる、やりたくないからやらない、
これが無意識の本質であり機能の全て。
無意識とは生物の本能にほかなりません。
やる気がない、だから行動しない(できない)というのも、
本能を受け入れてやらないという行動をとっているだけのことです。
そして、人間以外の動物はこの本能のままにしか生きられません。
しつけられない限りもとからある本能に沿った行動しかしませんし、
自らそれを改善することも、そもそもしようともできません。
ですが、人間には動物と違い意識があります。
意識は無意識という本能からくる行動を否定することができる機能、
つまり自分の意思でより良い方向に変わっていくための機能。
このような意識による否定という活動を人は知性と呼び、
知性によって人はここまで発展することができたのです。
知性を発揮せず本能のまま行動するのでは、
動物と変わりはありません。
意識的な無意識の否定、それによるきつさを乗り越えるというのは、
本能を乗り越えてより良い自分に変わっていく知性的な活動です。
やる気がでないという状態もまた本能的なものであり、
それを乗り越えるにはそれなりにきついこともあるでしょう。
でも、そのきつさこそがより良い方向へ変わっていく、
その証であるということをぜひ知っておいてほしいと思います。
では、今回はここまでです。