
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
思考力を鍛える方法やテクニックなどはいろいろありますが、
実践的なものはOODAループです。
根本的な思考力を高める方法はこれ1つだけだと僕は思ってます。
高い思考力を持つ人は意識的、あるいは無意識的に、
OODAループを常におこなっている。
逆に思考力がないなとはたから見ても感じるような人は、
OODAループができてない、できない場合がほとんどです。
なので、思考力を鍛えたいと思うのであれば、
OODAループについてきちんと理解して、
実践できるようにしてみてください。
この記事ではそのために必要なことについて、
1からお話していきます。
OODAループとは
- 観察(Observe)
- 情勢への適応(Orient)
- 意思決定(Decide)
- 行動(Act)
観察からはじめて行動までの4つの流れをたどり、
また観察に戻って行動までを繰り返す。
これをループするように常におこなうことをOODAループと呼びます。
もともとはアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐という方が、
航空戦に臨むパイロットの適切な意思決定のために提唱した理論。
ですが、ビジネスや政治などの分野でも使える一般的な理論として、
世に広まっていった一連のプロセスです。
自分が望む結果を得るために、どのようなことをするのが最善か?
そんな意思決定を下すための手段ですね。
で、この一連の流れが思考力を鍛えるという点において、
非常に大きな効果をもたらします。
そもそも思考とはある結果を導くために、
仮説をたてて道筋を作り出すこと。
OODAループを使うとそれが効果的に実践できるので、
思考力も鍛えられていくのですね。
なので、1つ1つの段階をきちんと理解して、
実際におこなってみましょう。
観察(Observe)
1つめの段階は観察、ようはデータ収集です。
あなたが求める結果を導くために必要なデータを、
できるだけ多く集めることをいいます。
データには自分が身を置く環境などを含めた外部状況や、
関連する知識、関わる人や人同士の関係などなど、
あらゆるものを含みます。
で、このデータ収集をおこなう上で意識してほしいのは、
データと情報を混同しないということ。
データとは客観的な事実のことであり、
情報とはデータから導き出された主観的な知見のことです。
例えば『AさんとBさんは家族だ』というのはデータですが、
『AさんとBさんは"仲のいい"家族だ』というのは、
AさんとBさんの様子を見た人の主観的な知見、情報になります。
主観は基本的にある人の感情的なものの見方、
例えば偏見なども含まれてしまうので、
データと比べると正確性に欠けるのです。
なので、観察の際にはデータと情報の違いを意識して、
データだけを集めるようにしてください。
情勢への適応(Orient)
2つめの段階、情勢への適応とはデータを情報に変換し、
仮説を立てることです。
観察で集めたデータを元にして情勢(現状)を理解したうえで、
自分の価値観などの主観を通してデータから情報を作る。
作った情報を元に自分が望む結果を得るために必要なことを、
仮説立てていきます。
まあ、いまいちピンとこないかもしれませんが、
データを元に自分の目標などに向かって、
やるべきことを考えると思ってもらえればよいです。
そして、この段階で意識してほしいことは2つ。
- 仮説はできるだけ多く考えること
- 考える際は実行可能かどうかをとりあえず無視すること
まず、仮説は多ければ多いほどよいです。
多くの仮説があればそれだけ行動の幅が広がるので、
情報からより多くの仮説を立てていきましょう。
ですが、もし1つ2つしか仮説が立てられないという状況になれば、
それは観察の時点でデータが不足しているということ。
なので、そんなときは観察の段階に戻って、
もう一度データ収集を行ってみてください。
次に、仮説を立てる際は現時点での自分に実行可能かどうかは、
とりあえず無視しましょう。
仮説の段階では実現可能かどうかよりも可能性を優先して、
できるだけ多くの選択肢を作るよう意識してみてください。
意思決定(Decide)
3つめの段階は意思決定です。
情勢への適応で立てた仮説の中から自分の望む結果へ向けて、
最適だと思われるものを選びます。
この段階では実行可能であるかどうかなども考慮しましょう。
自分が望む結果を得るために今の自分の状況から、
実行可能なものの中で最適な選択肢はどれか?
この質問を自分に問いかけて、意思決定してみてください。
行動(Act)
最後の段階、行動です。
意思決定の段階で選んだ仮説を元に実際に行動します。
このとき意識してほしいのは行動=終わりではなく、
次のループへの布石であるということ。
最初の方でも少しお話しましたがOODAループは、
4つの段階を何度も何度も繰り返すものです。
なので、今回の行動によって得られた結果というのは、
次の観察の際のデータとして活用されます。
新たなデータは新たな仮説を生み、新たな行動の幅を生み、
思考力の成長と新たな結果を引き寄せ、また新たなデータを生み……。
と、繰り返せば繰り返すほど洗練されていくのです。
なので、1度だけの行動で終わることなく、
何度もループして繰り返すことを意識してください。
以上がOODAループ、4つの行動段階です。
OODAループを実践すれば世界が広がって見える
今回、OODAループについていろいろお話してきましたが、
ここまで読んでくれたのであればぜひ実践してみてください。
実践すると世界がほんとに広がって見えます。
というのも、大抵の人はOODAループでいうところの、
観察だけして仮設を立てず行動もしないか、
観察などの過程を飛ばしていきなり行動に入る。
それで結果が出ずにその理由もわからない、
といったことが起こります。
ですが、4つの段階をきちんと踏んでいけば、
現状を理解し、選択の幅が広がり、行動に自信がつきます。
より多くの選択肢が見えること、自信を得ることで、
世界が広がって見えるのです。
もちろん、なれないうちは大変でしょうが、
繰り返すうちに呼吸するように一連の流れ実行し、
常に思考しているような状態も作れる。
どんなものでも反復練習が上達の道なので、
思考力を鍛えるためにもぜひ、
ループするように何度も実践してほしいと思います。
では、今回はここまでです。