排斥される人

どうも、コピーライターの水川です。

 

19世紀のハンガリー王国の医師、
センメルヴェイス・イグナーツ。

 

この方は「院内感染予防の父」「母親たちの救い主」と呼ばれ、
後の医学に大きな貢献を果たしました。

 

しかも、その命をかけてです。

 

そして、センメルヴェイスの行いとそれによる周りの反応、
その生の最後を含めた一連の出来事は、
後にセンメルヴェイス反射という言葉を生み出しました。

 

今回はこのセンメルヴェイス反射についてと、
そこから得られる重要な2つの教訓について、
お話ししたいと思います。

 

センメルヴェイス反射とは

 

人は自分の常識や一般的な通説では理解できない真実を、
受け入れがたく、排斥する傾向にある。

 

この傾向をセンメルヴェイス反射と呼びます。

 

ではなぜ、この傾向にセンメルヴェイス医師の名前がついたのか?

 

それは、センメルヴェイス医師がこの傾向が原因で、
命を落とすことになったからです。

 

 

19世紀に医師として活動していたセンメルヴェイスは、
助産婦が分娩を補助する場合と医師がする場合とでは、
産褥熱の発生率に10倍以上もの差がある理由の研究を始めました。

 

※産褥熱=産後24時間以降から10日以内に38度以上の熱が2日以上続いた場合のこと。治療が遅れると死にいたる場合もある。

 

そして、センメルヴェイスは友人である法医学者のヤコブ・コレチカが、
産褥熱で命を落とした検体解剖を学生たちに指導している最中、
使用していたメスで誤って指を傷つけてしまい、

その後、産褥熱と似た症状で命を落としたこと。

 

この事実から、センメルヴェイスは目に見えず臭いでしか確認できない、
謎の死体の破片が産褥熱の原因であると結論づけました。

 

※実際の原因は産褥熱の病原菌によるものですが、当時は菌という概念がなかったため、臭いという結論が生まれたと考えられています。

 

そのため、脱臭作用のある塩素水で手を洗ってから助産することで、
産褥熱の発生率を大幅に引き下げることに成功。
(実際は塩素水の殺菌作用で病原菌が殺菌されたことが原因と考えられる。)

 

また、センメルヴェイスが在籍していたある病院で、
塩素水での手の洗浄を行っていた頃の産褥熱の発生率は3%程度。

 

しかしセンメルヴェイスの除籍後、洗浄を行わなくなってからは、
30%まで発生率が上がったという事実からも、
産褥熱の発生の原因は医師の手に付着した臭い(病原菌)である。

 

このような、当時の常識では考えられない革新的な結論にいたったのです。

 

そして、これで多くの出産後の母親を助けることができると確信し、
塩素水での手の洗浄の導入を頼むため数々の病院をまわりました。

 

常識的に考えればこれで産褥熱の発生率は激減し、
多くの母親の命が救われる。

 

また、病原菌という概念がなかった当時において、
これを発見するのを早める一助となったかもしれません。

 

ですが、実際にはそうならなかった。

 

当時の常識では考えられない結論に加え、
もしセンメルヴェイスの説が正しかった場合。

 

産褥熱を引き起こす原因は医師にあるということですから、
つまりは産褥熱で命を落とした母親たちの死の原因は、
医師にあるということになってしまう。

 

この2つのことが原因で医師や医学会は、
センメルヴェイスの説を全否定し、
さらには凶人、危険人物扱いします。

 

そして最後には医師たちの嘘によって精神療養所施設に呼び出され、
異変を感じて逃亡しようとしたところを監視人集団に暴行され、
センメルヴェイスは命を落とした。

 

本来なら未来の多くの命を救う一助となり、
医学の進歩にも貢献することになったかもしれない医師は、
人の常識では考えられないことを受け入れられない傾向。

 

そして、多くの命よりも自らの名誉を守ることを選び、
責任を認めない大多数の医師たちの身勝手さゆえに、
汚名を着せられたまま非業の死を遂げたのです。

 

実際、この説を受け入れなかったことでしばらくは、
産褥熱の発生率は変わらなかったでしょう。

 

なので、当時のセンメルヴェイスを排斥した医師たちは、
多くの母親の命を奪ったと言っても過言ではない。

 

センメルヴェイス反射はこの一連の出来事を由来としているので、
センメルヴェイスの名前が使われているのですね。

 

センメルヴェイス反射から学べる2つの教訓

 

ここまで、センメルヴェイス反射についてお話ししてきました。

 

そして、この言葉とそれに由来する一連の出来事から、
重要な教訓を2つ得ることができます。

 

1つは、人は自分の常識外のことを受け入れず、
時には排斥してしまうこともある傾向を持つと知ること。

 

つまりは、自分の常識の中には存在しないけど、
世界には確かに存在するものがあることを知るのです

 

このことを意識しておけば自分には理解できず、
思わず否定しまうような知識や情報を得た時。

 

それを安易に排斥せず、よくよく考えることで、
後に大きな何かを生み出す一助になることもある。

 

また、センメルヴェイスの説を認めることができず、
後に多くの母親の命を奪うことになったように。

 

認められないからと否定することで、
取り返しのつかないような大きな失敗を、
避けることもできるでしょう。

 

 

そして、2つめ。

 

革新的なものは否定され批判されることが多いけど、
それが本当に正しく意義のあるものであるなら、
後に必ず受け入れられることを知ることです

 

これを実際に体現した実例は、例えばZOZOTOWNがそうです。

 

通販でのアパレル販売の先駆者であるZOZOTOWNですが、
当時のアパレル業界の常識から言えば通販での販売など、
あり得なかったし受け入れ難かった。

 

無理だ、成功するはずないなどの批判なども多くありましたが、
ZOZOTOWNの前澤社長は批判を意に返さず前に進み続け、
大成功を収めました。

 

今では多くの人にとって通販でのアパレル販売は常識となり、
似たようなサービスも多く生まれるようになったのです。

 

このように、革新的なものは批判されることが常ですが、
それが本当に意義あることであれば後に正しさは証明される。

 

なので、何か新しいことをはじめたいと思ったときに、
例えどれだけ批判され、否定されようとも。

 

本当に正しいと、意義あるものだと思うのであれば、
迷わず進み続けること。

 

そうすれば、いずれそれの正しさは証明され、
受け入れられるでしょう。

 

ようは、批判などをおそれず新しいことにチャレンジする、
批判を理由に諦めることなんて何もないということです。

 

痛くとも真実を追求するか、楽な虚構に逃げるか

 

真実、真に普遍で正しい事柄というのは、
痛みが伴うものです。

 

センメルヴェイスは産褥熱を自分たち医師が引き起こしていた。

 

この事実を知り罪悪感に苛まれ、責任を感じたといいます。

 

ですが、その責任やそこから生じる痛みから逃げること無く、
未来の母親の命とそれを救うための医学のために、
真実を追求し、最後まで主張することをやめなかった。

 

そしてその成果は死後、正しいものであると証明される。

 

センメルヴェイスは命をかけるほどの痛みの中で真実を見つめ、
その正しさを証明したのです。

 

逆にセンメルヴェイスを排斥した医師たちは楽だったでしょう。

 

自分の責任を認めず、自分の信じたいものだけを信じ、
それを守るためだけに異端を排斥した。

 

ですが、異端が実は正しかったことが証明された今では、
ただの愚か者としての不名誉だけが残ったのです。

 

真実は確かに痛いですが、そこには追い求めるだけの意味がある。
それは後に大きな何かを生み出すきっかけになることもあります。

 

虚構は確かに楽ですが、そこには何の意味もない。
そして最後には正しさに押しつぶされるだけのもの。

 

センメルヴェイス反射はこのことを考えさせられる、
良い訓話であると思います。

 

 

では、今回はここまでです。

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