
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
今回はライティング、文章で何かを伝える能力を身につけたいなら、
必ず意識しておきたい知の呪縛についてお話ししようと思います。
特に、わかりにくい文章しか書けない、
読んでもらっても相手に伝わらないなど。
このような悩みがあるのなら絶対に知っておいてほしい内容です。
とにかく、相手にきちんと何かを伝えたいという場合には、
絶対に意識しておいてほしいことになります。
知の呪縛とは
では、知の呪縛とは何なんなのか?
人は1度何かを知ってしまうと、知らなかった時のこと、
知らない自分という状態を忘れてしまうことです。
例えばですが、あなたは今ここまでの文章を読んで、
その言葉の意味を理解できているでしょう。
それはあなたが、日本語という文字を知っていて、
読み書きができる知識や経験があるからです。
ではここで質問があるのですが、
あなたは日本語を読み書きできなかった過去、
日本語を読み書きできるようになろうとする。
その時の自分自身の状態を思い出せますか?
日本語を読み書きできないという時の心理状態をです。
おそらく無理だと思います。
むしろ、なぜ自分はあの頃こんな簡単なことが、
あんなにもうまくできなかったのだろう?
このように思うのではないでしょうか。
他にも、小学校の時に習った九九の計算。
今なら簡単に暗唱できるでしょうが、
暗唱できなかった過去の自分自身を思い出せますか?
これも無理だと思いますし、なぜできなかったんだろう?
と疑問がわいてくると思います。
このように、人は1度何かを知ると知っていることが当たり前になり、
それを知らなかった状態をうまく思い出すことができません。
まあ、それだけならまだ良いのです。
ですが、さらに厄介なのは自分の知っていることは、
当然相手も知っていると考えてしまう傾向があります。
こんな知っていて当たり前のこと、簡単なことなんだから、
相手も知っていて当たり前だろう。
このように無意識に考えてしまうのです。
知の呪縛を意識していないと文章が自己中心的になる
知の呪縛があっても対面による会話であるのなら、
まだ意思をきちんと伝えることはできます。
対面だと相手の反応などを直に受け取れるので、
伝えるべきメッセージを柔軟に変えることができるからです。
ですが文章、例えばブログ記事などもそうですが、
基本的に1人で書くことになるでしょう。
1人で黙々と伝えたいメッセージを考えて、
伝えたい相手を想定して書いていくことになります。
そして、当然ですが伝えたい相手というのは、
伝えたいメッセージを知らない人です。
知らない人に知らないことを伝えるのが、基本的な文章ですから。
なので、相手が知らないことを知れるように、
きちんと文章を書く必要があります。
ですが、ここで知の呪縛がじゃまをするのです。
先ほどお話ししたように知の呪縛とは、
知らないという状態をうまく思い出せないこと。
知らないという人の心理をうまく理解できないことです。
そんな状態で文章書けばどうなるかと言うと、
必然的に知らない人に配慮されない文章になる。
ようは自己中心的、自分はわかるけど相手には伝わらない、
わかりにくい文章になるということです。
なので、相手に伝わるわかりやすい文章を書きたいなら、
知の呪縛があるという事実をまずは知っておかないといけないのです。
知識や経験を持っている人ほど、わかりにくい文章を書きやすい
文章を書くことって頭の良い人じゃないと難しい、
みたいな印象が一般的だと思います。
ですが、様々な人の文章などを読んで添削した経験から言うと、
わかりにくい文章を書く人はほぼ例外なく、
何らかの分野で専門的な知識や豊富な経験を持った人達です。
そして、わかりやすい文章という点でのみ言えば、
あまり知識や経験のない人が書いた方がうまかったりします。
その理由が今回お話しした知の呪縛。
知らないという状態をうまく理解できないことです。
知識や経験が当たり前のものとして身についているがゆえに、
知らない状態を想定できず、伝わる文章がかけないのです。
もちろん、文章はわかりやすさだけが全てではありません。
わかりやすさだけなら知識や経験が浅い人、
ようは素人が書いたほうが良い場合が多いですが、
内容は当然ですが浅くなります。
逆にわかりにくくても、その内容はとても深い、
学びの多い文章であるということもあるのです。
ですが、もしその深く学びの多い内容を、
伝えたい人にきちんと伝えたい。
わかりやすく頭に残るような文章を書きたいのであれば、
知の呪縛の存在を意識しておく必要があります。
まあ、知らないことが理解できない状態ですから、
知っていても意識することは簡単ではありません。
ですが、知の呪縛をまったく意識していない状態と、
意識している状態だと間違いなく、
前者のほうがより伝わる文章が書けます。
後は、何度も書きながら感覚を染み付かせ、
無意識に書けるように訓練するしかありません。
なので、文章を書くときは知の呪縛があるということを、
きちんと意識してみてほしいと思います。
では、今回はここまでです。