ノーベル化学賞を授与された吉野さんから学ぶ剛直性という考え方
【記事執筆者】水川健人
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
【価値あるものが正しく認められるビジネス業界】を目指して日々活動中。

 

前回に引き続き今回もノーベル化学賞を授与された、
吉野さんから学べることについてお話ししようと思います。

 

 

 

前回は吉野さん自身が研究者として成功できたと考えていた要素の1つである、
柔軟性という考え方について、ビジネスに活用する方法などについて、
詳しくお話ししました。

 

今回はもう1つの要素である剛直性という考え方について、
お話ししようと思います。

 

吉野さんから学べる剛直性という考え方

 

剛直性とは1つの目標にぶれず折れずにエネルギーを注ぐという考え方。

 

吉野さんはリチウムイオン電池の開発と商品化に対して、
ぶれることなく、諦めることなくエネルギーを注いできました。

 

その結果、商品は飛ぶように売れるようになり、
現在ではあらゆるところでリチウムイオン電池が使われ、
未来のあらゆる場面でも使われ続けるものとなった。

 

環境問題に役立つという点でも大きく認められ、
2019年のノーベル化学賞にも選ばれたのです。

 

ですが、もちろんのことながら困難なく、
スムーズに物事が進んだわけもありません。

 

吉野さんはリチウムイオン電池の開発から商品化の間に、
『悪魔の川』『死の谷』『ダーウィンの海』という、
3つの壁にぶつかり苦悩した経験があるとお話ししていました。

 

『悪魔の川』とは基礎研究という新たな論理や技術を生み出す過程での苦しみ。

 

リチウムイオン電池はそれまで誰も開発したことがなかったのですから、
当然ですが作るために必要な情報や技術などはありません。

 

つまりはゼロから必要なものを生み出す必要があったということですが、
これは暗闇の中で光なしに目的地へと向かうようなものです。

 

次の『死の谷』とは新しく生み出した論理や技術を元に開発する苦しみ。

 

『悪魔の川』を超えて新たな何かを見つけることに成功したとしても、
今度はそれを元に実際に開発する必要があります。

 

そしてどんな分野でもそうですが知識と実践は別物で、
論理的、技術的には正しいはずなのになぜかうまくいかない。

 

これはよくあることであり多くの試行錯誤があっただろうと、
想像することができます。

 

最後の『ダーウィンの海』とは認められないという苦しみ。

 

無事リチウムイオン電池の開発に成功し商品として販売したわけですが、
3年ほどの間はまったく売れなかったそうです。

 

今までなかった全く新しいものなわけですから、
その価値を理解してもらう、認めてもらうには、
それなりの時間が必要だったということですね。

 

ちなみに、吉野さんがもっとも辛いと思ったのが、
この『ダーウィンの海』だそうです。

 

認められるのかどうかわからない期間というのは、
真綿で首を絞められるのような辛さだったとお話しされていました。

 

以上、3つの壁を吉野さんは経験したわけですが、
そのどれにもくじけず見事に初志を貫徹し、
リチウムイオン電池を世に広めたのです。

 

そして、このように1つの目標や目的に対してどんなことがあっても、
エネルギーを注ぐという考え方を剛直性と表現されたのですね。

 

ビジネスの成功においても剛直性は重要

 

ここまで剛直性についてお話ししてきましたが、
ビジネスでの成功でもこの考え方は必要。

 

つまりは、自分がビジネスを通して成しとげたいことに対して、
何があっても迷わずエネルギーを注ぎ込むということで、
ビジネスでは特にこの考え方が重要です。

 

なぜなら、ビジネスには定められた目標がなく、
自分で定めた目標や目的だけが道標だから。

 

自分でビジネスをするということは、
自分で行き先を自由に選べるということ。

 

何をしてもよく、何を目指してもよいわけですが、
その代わりに全ての舵取りは自分でしなければならない。

 

そして、その結果いかなる場所にたどり着こうと、
その責任はすべて自分自身で背負う必要があります。

 

そして、その重荷のせいで多くの人はビジネスで困難にぶつかると、
途中で挫折してしまうということがよくおこるのです。

 

ですが、その重荷に負けずに歩き続けた先にしか、
成功という未来はありません。

 

だから剛直性を持って信念を曲げずに、
まっすぐ進んでいくのが大事なのですね。

 

剛直性を持つにはどうすれば良いのか

 

と、言うのは簡単ですが、やはり何があっても信念を曲げず、
必ず目標まで歩き続けるというのはそう簡単ではありません。

 

必ず成功するとわかっているなら、
何があっても耐えられるでしょう。

 

ですが、成功するのかどうかもわからないままに、
ひたすら頑張らないといけないというのは、
やはり精神的にもきついものがあります。

 

吉野さんは『ダーウィンの海』がもっとも辛かったのだと先ほどお話ししましたが、
その理由が本当にリチウムイオン電池が認められるかわからなかったからとのことです。

 

では、どうすればわからないものに力を注げるのかというと、
これも吉野さんが1つの答えをお話しされていました。

 

その答えは自分の道に確信を持つということ。

 

自分の目標や目的は必ず達成できる、達成されると確信を持つことであり、
そのために必要なのは未来予測力であるということでした。

 

ちなみに、吉野さんはこの未来予測力を鍛えるために、
歴史に強い興味を持ち、学んでいるそうです。

 

過去から現在にいたる歴史の流れを知っていくと、
未来に何が起こるのかがある程度わかるようになるとのこと。

 

これは、僕自身も似たような経験があり、
興味のある分野の過去の出来事などを調べていると、
なんとなく先に起こることが予測できたりします。

 

もちろん完璧に予測するなんてことはできませんが、
全く的はずれな行動をとるということは避けられます。

 

なので、自分のビジネスに関わりのある分野の、
歴史や出来事について調べたりしてみてください。

 

 

それが、未来に確信を持つ一助となるかもしれません。

 

自分の未来に確信を持つことが成功の秘訣

 

ここまで吉野さんの剛直性についていろいろお話ししてきましたが、
ようは自分の未来に確信を持つのが大事ということ。

 

自分は必ず未来において何かを成しとげる、
成しとげることができる。

 

そう確信して、ひたすら前へと進むことが、
成功の秘訣であるということです。

 

そのための1つの方法に未来予測などがあるということですね。

 

ただ、もし本当に心の底から成しとげたいことがあるなら、
例え未来がわからなくとも歩み続けられるもの。

 

吉野さんも『ダーウィンの海』の壁にぶつかった際、
本当にリチウムイオン電池が認められるかはわからなかった。

 

けれど、それでも折れずに歩き続けることができたのです。

 

つまりは、それだけ成しとげるという強い意志を持っていて、
それだけ強い意志を持てる何かを見つけること。

 

それが、本当の成功の秘訣なのではないかと、
吉野さんの記者会見を見ていて強く感じました。

 

特に成しとげたいことが大きければ大きいほど、
立ちふさがる壁は厚く高いものとなる。

 

そして乗り越えるのが難しいほど小手先のテクニックなどではなく、
今回お話しした剛直性というものが強く影響してくるでしょう。

 

それだけ熱心に力を注げる何かを見つけるということを、
ぜひ意識してみてほしいと思います。

 

 

では、今回はここまでです。

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