思考力を鍛えたいなら概念という考え方と提喩をマスターしよう
【記事執筆者】水川健人
マーケター・思考設計士。個人や中小規模ビジネス向けに、マーケティング戦略のアドバイスを主におこなっている。
【価値あるものが正しく認められるビジネス業界】を目指して日々活動中。

 

概念って言葉だけは聞いたことがあると思いますが、
その実態を理解してる人はあまりいないでしょう。

 

生活していくうえで概念なんて知らなくてもいいですから。

 

ですが、思考力を鍛えたいのであれば、
概念はものすごい重要な意味を持ちます。

 

仮に同じぐらいの地頭であるという前提があるのなら、
知らない人は素手で戦ってるのに対し知ってる人は銃を持っている。

 

思考という分野でこれぐらいの戦力差が生まれるほど重要なものです。

 

また、副産物ではありますが概念を理解できると人によりますが、
大きく記憶力やコミュニケーション能力が上がることもあります。

 

なので、思考力を鍛えてついでに記憶力なども上げたいのであれば、
ぜひ今回お話しする概念という考え方をきちんと理解する。

 

理解した先にある提喩(ていゆ)という考え方もマスターしてみてください。

 

概念とは

 

ではまず概念とは何かについて詳しくお話ししていきましょう。

 

概念(がいねん)は、命題の要素となる項が表すもの、あるいは意味づけられたものであり、言い換えれば、それが言語で表現された場合に名辞となるもの。 人が認知した事象に対して、抽象化・ 普遍化し、思考の基礎となる基本的な形態となるように、思考作用によって意味づけられたもの。

 

概念の辞書的な解説は以上のとおりなのですが、
おそらく何言ってるかいまいちピンと思います。

 

簡単に言うと人が共通して持つことができる認識に、
名前をつけたものを概念と呼ぶのです

 

例えば、ちょっと色の赤を頭に思い浮かべてみてください。

 

そう言われて、すぐに頭に赤を思い浮かべられたと思いますし、
その赤は僕が思い浮かべられる赤とほぼ同じものでしょう。

 

ようは、あなたや僕の中に共通した赤というイメージが有り、
それに名前をつけたものが"赤"という概念なのですね。

 

ちなみに、ここで重要なのは"共通してある"という部分。

 

概念は他人や社会と共有できる場合のみ定義できるもので、
そうでないなら互いの思考や意思疎通にズレが生じます。

 

例えば何らかの理由、生まれたときから全盲だったなどで、
これまでに赤を見たことがない人がいるとします。

 

その人は赤を目で捉えることができないため、
赤を目で捉えられる人と赤という概念を共有できません。

 

他にも業界用語のように特定の業界でのみ通用する言葉は、
ようは特定の業界でのみ共有されている概念ですから、
業界内では通じても外では通じないということになる。

 

このように共有できないのであればそこにズレが生じますから、
思考や意思疎通にもズレが生じるということです。

 

ですが、ズレが生じることがわかっているのであれば、
相手の考え方を理解したり意思を読みとったり、
逆に自分の意思を伝えたりするのに大きな助けとなります。

 

相手と共有できる概念、できない概念をしっかり把握して、
相手に合わせて伝え方などを変えたりすればよいのです。

 

なので、はじめにもお話したように概念を理解し実践すると、
コミュニケーション能力が上がることがある。

 

逆にコミュニケーションがうまくいかない人は、
自分が理解できる概念を元に思考し、
意思疎通をはかろうとするからうまくいかないのですね。

 

なので、高い思考力を発揮するのはもちろん、
それを伝えようとする時などにも、
概念という考え方を意識してみてください。

 

概念には上位と下位がある

 

ここまで概念の概要について詳しくお話してきましたので、
ここからはもう少し踏み込んだお話をしていきます。

 

概念には上位と下位があるというお話です。

 

どういうことかというと、あらゆるものには一部分において、
共通する項(要素)というものがあり、
それをひとまとめにすると上位の概念となります。

 

例えば赤、青、黄、白、緑などの概念がありますが、
それらに共通する要素は世界を彩るものということ。

 

そういった要素を端的に表した概念を人は"色"と呼びます。

 

つまり、色という上位概念の中に赤や青など、
下位の概念が存在するということですね。

 

ちなみに、赤の下位の概念にはマゼンダとか、
ワインレッドとかえんじ色とかいろいろあって、
それらの共通要素をまとめると赤という上位の概念になります。

 

と、言葉で聞いてもいまいちイメージしづらいと思いますので、
図にしてみました。

 

色という概念のイメージ図
色という概念のイメージ図

 

色という概念が最上位で、下位にいくつかの概念があり、
その下位にさらに概念が繋がっていくのですね。

 

他のあらゆる概念もこのようなイメージになっていくのです。

 

と、これが上位と下位という概念の考え方なのですが、
以上を理解した上で意識しておいてほしいことがあります。

 

概念は上位になればなるほど抽象的になりますが、
代わりに思考力次第で応用が効くということです

 

というのも、先ほどお話ししたように上位の概念は、
いくつもの下位の概念から共通した要素をまとめ、
それに名前を付けたものです。

 

なので、上位になればなるほどより多くの要素を内包し、
加えて要素の1つ1つは薄くなる。

 

ゆえに抽象的になっていきます。

 

ですが、抽象的であるということは思考力次第で、
いくらでも応用が効くということです。

 

例えば塗り絵をする時に赤を塗ってくださいと言われた場合と、
色を塗ってくださいと言われた場合を考えてみてください。

 

赤を塗ってくださいだと誰が塗ってもほぼ同じになるでしょうが、
色を塗ってくださいだとその人の思考力、色の知識、想像力次第で、
いくらでも新たなものが生み出されていきます。

 

また、上位の概念ほどより広い範囲に適応することができる。

 

例えばある業界特有のノウハウがあったとして、
それを上位の概念に昇華させる。

 

すると、別の業界にもそれを応用できるようになるといった感じです。

 

とりあえず覚えておいてほしいのは、
以上にように上位の概念には応用性があるということです。

 

ですが、思考という過程を挟まないと抽象的なものは、
曖昧で意味のないものになりがちなので気をつけてください。

 

ついでに、上位下位の概念を理解できると、
物事を記憶しやすくなります。

 

人は個々の別々の物事を記憶することは苦手ですが、
関連する物事を記憶することは得意だからです。

 

例えばまったく規則性のない数字の羅列とかって、
記憶するのが難しいですよね。

 

ですが、何らかの規則性があるとスッと頭に入るような感じ、
経験したことありませんか?

 

関連する要素があるとそこを起点にして、
物事を記憶しやすく引き出しやすくなるのです。

 

なので、一見バラバラに見える物事の中から、
共通する要素をまとめて上位の概念として名を付ける。

 

そうすると、名を付けた上位の概念を起点にして、
バラバラだったものが規則正しいものに変わって、
頭に入りやすくなりますよ。

 

なので、上位と下位の概念という考え方は、
常に意識してみてください。

 

思考に概念を応用する提喩という考え方

 

ここまで概念という考え方について詳しくお話してきましたので、
ここからは概念を思考にどのように応用するのかについて、
お話していこうと思います。

 

思考する時に概念を応用するうえでやっておきたいことは、
上位と下位の概念を自由に行き来できるようになるということ

 

この行き来のことを提喩(ていゆ)とかシネクドキと呼びます。

 

例えば以下の3つの要素をみてください。

 

  1. ブログ
  2. SNS
  3. Youtube

 

この3つに共通する要素を抜き出し、
上位の概念として名を付けてみてください、
と言われた時に即座にできるようになる。

 

そして逆に、名付けた上位の概念から下位の概念を考える時、
この3つを即座に提示できるようになるということが、
上位下位を即座に行き来できるということです。

 

ちなみに、僕の場合だと上記3つの上位概念は集客になります。

 

逆に集客と考えた時に以上の3つが即座に思い浮かぶわけです。

 

僕は3つの要素を基本的にビジネス関係で使うことが多いので、
ビジネスに関係する上位概念が即座に思い浮かぶのですね。

 

ですが、別に集客以外でも全然構いません。

 

例えばより多くの人にメッセージを届ける手段とか、
他人とのコミュニケーションツールとかでも良いのです。

 

重要なのは要素を見た時に自分なりの上位下位の概念を、
即座に思い浮かべ自由に行き来できる。

 

行き来できるように訓練しておくということです。

 

これができるようになると先ほどお話ししたように、
物事を記憶しやすくなるのでインプット量が増え、
思考の幅が広がります。

 

また、上位の概念に移行することである分野の要素を、
別の分野に応用したりが簡単にできるようにもなります。

 

ようは想像力が広がりその結果、
思考力が高まるということです。

 

なので、上位と下位の行き来はぜひ訓練してみてください。

 

ちなみに、訓練する時は先ほどの色の概念のイメージ図のような、
マインドマップと呼ばれるものを実際に作ってみると良いですよ。

 

イメージを視覚的に捉えられると頭に入りやすくなるので、
ぜひやってみてください。

 

概念とは思考の幅を広げるためのもの

 

ここまでいろいろお話してきましたがようは、
概念とは思考の幅を広げるためのもの。

 

例えばある業界でしか通用しないような思考から、
別の分野でも自由に通用するような思考力をつける。

 

そのために重要な要素、考え方なので、
ぜひ身につけてみてほしいと思います。

 

 

では、今回はここまでです。

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